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ナショナリズムとイデオロギー [ニュージーランド本当の姿]

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9月23日に第52回ニュージーランド総選挙が行われる。
オークランドの日刊紙「ニュージーランド・ヘラルド」は労働党が勝利すると予想している。
9月20日付の世論調査では、政権与党の国民党(中道右派)が44.4%、最大野党の労働党(中道左派)は38.1%の支持率を獲得。どちらも単独過半数は取れないので他の党と連立を組むことになる。労働党の追い上げは評価に値するも、民主政治は過半数を取らなければ意味がない。

国民党を離党し新政党を立ち上げたウインストン・ピーターズ率いる「NZファースト党」(右派)は支持率5.7%、国民党と合わせると50.1%。ギリギリ過半数を超える。最終的には、国民党が若干増になると思うので51%くらい取れると思う。つまり、現状維持である。

労働党が政権を組める相手は「緑の党」しかなく、緑の党は7.3%を獲得。連立を組んでも45.4%では過半数が取れない。民主主義は過半数なので、残念だけれどそういうことです。

この単純な数値比較を用いて、NZヘラルド紙は、なぜ、労働党勝利を予想したのだろう。既に期日前投票が始まり、投票3日前の世論調査のどこを読んだのだろう。自然科学では説明できない霊的要素を用いて大ドンデン返しを予測したのでしょうか。知りたいところです。

この世論調査を見れば、まともな人は選挙に行かない。行ったところで変わらない。でも、ニュージーランドの選挙はお祭り的な要素があるので、みんな投票に行く。行っても行かなくても変わらないのに。ご苦労なことです。

世論調査はサンプル数2,500を取れば、ほぼ間違いない。なぜ2,500なのでしょう。NZ最良の大学である「オークランド大学」(世界ランク200位以下)の学会に属さない自称・統計学者に聞いてください。明解に答えてくれるはずです。信用のない人物の明確答弁にどれだけの価値があるのか知りませんが。

ニュージーランドの選挙制度は登録制で選挙権は選挙登録した人にしか付与されない。この選挙登録は法律に従い義務化されており、未登録者は100ドルの罰金、再犯者は200ドルの罰金刑に処せられる。毎回選挙ごとに登録が必要。超面倒臭い仕組みを採用している。しかし実際には罰金刑になる人はおらず、今回の総選挙では有権者357万人のうち、選挙登録者は330万人、有権者の8%に当たる27万人は選挙登録をしていない。ニュージーランドの投票率が高い理由は、表向き、罰金刑があるから。でも実際に罰金になる人はいない。その理由は、選挙登録をしてもシステム処理で無効となる人が一定数おり、この人たちが罰金刑になるのかという議論がある。検察は起訴できない。だから罰金刑もない。数字は真実を示すが数字に惑わされてはいけない。「嘘をつく数字」もたくさんある。
ニュージーランドの政治は透明性が高い、だから、投票率も高いは大嘘である。

一院制で、慣例に従い民意を問う解散がなく、誰かが死ななければ補選もない。3年に一度しかない選挙をNZ国民は楽しみにしている。これが投票へ行く理由。世論調査も民意も関係ない。単なるお祭り。

「Newstalk ZB」のトークショーを聴くと、任期が4年あるのに民意を問う解散が2年ごとに行われる日本の政界を支持するリスナーが多く驚く。選挙で負ければ党首は辞任する。ニュージーランドの政党は選挙で負けても党首は居座る。これのどこが民意なんだって。ニュージーランド大好きな在留邦人が聞いたら発狂すること間違いなしだけれど、在留邦人は「Newstalk ZB」のトークショーなんて聞きません。聞いても何を話しているのか理解できない。バカの集まりだからしゃーないです。

労働党は選挙2か月前に人気のない党首を引きずり降ろす政党とは思えない行動をとった。党内クーデターが日常的に起きるニュージーランド政界なら、遅くても昨年末、できれば1年前に党首交代させないと勝てる選挙も負ける。議席を失ったNZファースト党の復活は、現在の国民党政権に不満を持つ国民が多くいる証。国民党はその真意を理解しなくてはいけない。与党も野党も負けている。有権者はどの政党を選んでも差はないと判断しているのだ。それなら第三政党を支持する。どこかの国と似てますね。それだけどこかの国も、ニュージーランドも平和という証です。

労働党は中道左派政党なのに、やっていることは右派政党の政治思想とおなじ。現在の移民政策の中心を作ったのは労働党であり、それを引き継ぎ大きくしたのが国民党である。労働党が作り、国民党が大きくする。これがニュージーランド政界の構図。

国民党支持が高い背景に好調な経済成長がある。失業率は4.8%と過去8年間で最低を記録。カンタベリー地方に限ると3.8%。220万人分の仕事しかないニュージーランドの労働市場で完全雇用を達成しており、実質的に人手不足になっている。物価上昇率は1.7%、政策金利は過去最低の1.75%。ニュージーランドはマネーに溢れているのだ。私のニュージーランド時代は失業率は10%台に達しており、建設中の建物は工事が中止となり放置され、町に失業者が溢れていた。ダブルワークどころか、トリプルワークも当たり前。失業対策として自宅に留学生を下宿させる家庭も多くあった。国際交流なんて言葉はニュージーランドにない。あるのは「カネを落とす学生をどれだけ確保するか」だけ。

ニュージーランドは小さな国なので、一定比率の失業を歓迎する。生産性以上の購買欲の上昇はインフレを発生させ、このインフレ退治に莫大はカネが必要となる。結果として、国は疲弊する。失業は「悪」ではなく「善」なのである。
しかし、この経済成長は国内で派生した景気循環ではなく、海外投資による景気循環であることを忘れてはいけない。ニュージーランドは永遠に自立できない国であり、海外投資による資金流出は国内物価を押し上げる要因になる。急激な外資規制を行えない理由はここにある。イギリスからの投資は歓迎する一方で、中国人による不動産投資は拒絶するとはいかないのである。中国からの資金流入だけを規制することはTPP交渉において根本見直しを求められる。労働党が主張するのはこの部分。中国からのマネー流入が止まった瞬間、不動産価格は三分の一以下に大暴落する。ニュージーランドの不動産価値は現状の三分の一程度しかない。

人口が増えている要因も海外からの移民流入以外にない。国内人口が純増しているわけではない。ニュージーランド人は年間5万人が海外へ流出する。その8割の4万人はオーストラリアへ向かう。人口が減ってしまう分を海外からの移民流入で帳尻を合わせる。この数が7万人。+2万人が増えることになる。
私の同級生には4人・5人兄弟(姉妹)、6人・7人家族が普通にいた。ニュージーランドは多子若齢社会である。いまは多くても3人兄弟、大多数の夫婦は2人ないし1人しか子を儲けない。実際の統計指数では、2010年の出生率(合計特殊出生率)は2.2人(1961年は4.3人)。実数と統計指数は、ほぼ同数を示している。
初婚年齢も上昇傾向にあり、男性は30歳、女性は28.5歳。男女共に20年前から3歳上昇している。医療費と教育費が「無償」のニュージーランドでも少子化は着実に進んでいる。その中での人口増とは「大人」の数が増えているだけ。この「大人」とは移民のことであり、子供の数は増えていないどころか減っているのである。この「大人」たちは20年後に年金を受給するようになる。自立できないニュージーランドが移民に対し年金まで給付するとは思えない。次の20年でニュージーランドの年金制度が破たんすることは目に見えてわかる。貯蓄率の低いニュージーランドの家計部門で将来に対する備えはできていない。急激な「増税」に踏み切ることは確実である。「ニュージーランドに相続税はない」なんて軽い謳い文句で移住した人は財産を失う。金融の引き締めと同時にキャピタルゲイン課税を導入すれば不動産バブルは一気に終わる。事実、2015年から投資物件の2年以内の売却には33%が課税され、事実上のキャピタルゲイン課税が導入されているのである。この事実上のキャピタルゲイン課税は海外投機に対する規制でありマネーゲームに対する規制である。ニュージーランドでは住宅は不足していない。なぜなら、人口は純増していないからである。

国民党が政権を堅持すれば、来年からビザ条件が緩和される。これはいつものこと。在留邦人と留学エージェントにとっては朗報です。ただし、末端のゴミ外人はバッサリ切られる。在留邦人の100%はゴミですから、国民党が政権を堅持しようが、労働党が奪還しようが、変わりません。どこが政権を取っても、末端の外人はバッサリ切られる。

これは南半球にある小さな小さな島国でも、ナショナリズムが台頭しているからである。
小さな小さな島国は、ぜんぜんフレンドリーじゃない。自分たちの小さな殻に閉じこもり、外部侵入者を歓迎しない。お金を落とす人は歓迎するけれど、カネを落としたら帰れと言い出す。それが現状である。
20世紀のニュージーランド人は、思うことがあっても口に出して言わなかった。口に出さないので暴力で態度を示した。21世紀のニュージーランド人は違うんです。口に出して言う。そして、暴力で態度を示す。

それを象徴する行為が冒頭の写真である。
中国系の女性の顔にペンキで[×]が落書きされている。この中国系女性は緑の党の候補者である。この女性の選挙区には中国系移民が多く居住しており、有権者の9.2%はアジア系住民が票を握る。また、有権者の49%が外国の生まれという外人が占領し、平均世帯収入は5万ドルを超える富裕層の住む選挙区である。保身的なニュージーランド社会ではかなり特殊な選挙区である。
その選挙区の候補者に落書きがされる。これがニュージーランド社会の現実である。

この選挙区、かつてはパンジー・ウォングという中国出身の女性政治家が議席を獲得していた。パンジー・ウォングは落下傘候補者で、元々はクライストチャーチにいた人。しかし不正会計で失脚しました。ニュージーランドはクリーンな政治なんて嘘です。夢物語です。ニュージーランドでも国会議員の不正会計と裏帳簿は日常茶飯事です。現首相のビル・イングリッシュも不正会計が発覚し処分を受けている。
ニュージーランドの国会議員は日本の地方議員と同じレベルなのでどこにでもいる。普通に買い物もしているし、友達の友達までさかのぼると、だいたい政治家に行き着く。面倒なことは電話すれば何とかしてくれる。政治が身近といえば身近だけれど、地方議員と同じだから身近なんです。近所の肉屋のオヤジが議会のあるときだけ背広に着替え政治家になるのと同じです。ファーストネームで声を掛ければ気軽に挨拶をしてくれる。なぜ、挨拶をしてくれるのか。政治家だからです。政治家と役人はどの国でも同じです。

私はニュージーランドを横浜市と比べるけれど、横浜市議会議員選挙は8.000から14,000票を獲得すれば議員当選する。ニュージーランドの国会議員は10,000票前後で当選する。37歳で労働党の党首に就任したジャシンダ・アーダーンは10,500票で当選している。ニュージーランドは横浜市と比べるのが丁度良い。ちっこい国なので日本基準で考えるのは無理がある。

国民党が政権を堅持すれば、LGBTには優しい社会になるかもしれない。その一方で、ナショナリズムの台頭を抑制できず、特にアジア系移民に対するイジメや差別、リンチは増える。標的になるのは学校へ通うアジア系の生徒。力も弱く、被害を受けるのはこの人たち。かわいそう。でもニュージーランドで生きるにはイジメ、差別、リンチに堪えないといけない。
幼少期からニュージーランドに住むアジア系の人に聞いてみたらいい。「白人から嫌がらせを受けたことがあるだろ?暴力を受けただろ?」って。100%「ある」と答えます。私も酷い嫌がらせを受けた。ニュージーランドはフレンドリーな国ではない。

大人のアジア人は自分が経験をしていないので知らないだけで、学校内でのアジア人差別は凄まじいものがある。助けを求めた先生たちも、内心、マジョリティと同じ信条なので、テーゲーです。国民党が政権を堅持したあと、自分の子供に聞いてください。「学校で白人にイジメられていない?」と。子供は「イジメなんてないよ」と大きな返事をします。親を悲しませたくないから嘘をつく。でもね、実際は違うんです。だから風呂に入ったときに子供の体を確認すること。あざができていても、子供に理由を聞いてはいけない。なぜなら、子供はあざができた理由を言わないから。言いたくない現実を言わせることは拷問である。見たままの姿を受け入れる。それがニュージーランドで生きる第一歩。

私がニュージーランド社会を「陰険な社会」と表現する理由はここにある。大人はニュージーランド社会の本当の顔をしらない。
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